カビ付け!?

この作業で残存している28%の水分を18%にまで減少させるために行われます。他にも、カビに節の筋肉の脂防分を吸収させて、肉質を良くしたり、節の表面にカビの被膜をつくることで香味が抜けないようにします。
作業は日数をかけ、じっくりと行われます。まず、裸節を1~2日間、戸外で日に当てます。このことを「日乾」といいます。そのあと樽か木箱に節を詰め、しっかりとふたをします。かつお節工場には、カビが発生しやすいように25~26℃、湿度84~85%に自動制御された「カビ室」と呼ばれる部屋があり、そこに節の入った箱を入れると、夏なら16~17日間で、節の表面が青カビで覆われます。この最初に発生したカビのことを「一番カビ」といいます。
次に、カビのついた節を容器ごとカビ室からだし、戸外に広げたムシロなどの上に並べて2日間ほど日に干します。そのあと、ブラシを使って1本1本丁寧に表面のカビを払い落とします。こうやってカビを落としたら、今度は風通しの良い日陰に並べ放冷します。
その後再び節を箱に詰め直し、しっかりふたをして、「一番カビ」のときと同じように、またカビ室に戻します。
すると今度は約2週間で一面にカビがはえてきます。これを「二番カビ」といいます。それをまた、ぬくもりのある内にブラシでカビを払い落とし、放冷後箱に詰め、ふたをしてカビ室に移します。そこではえたカビが「三番カビ」です。このあとはカビを払い落としたのち、カビ室には戻さず、外気中に置いてカビがつくのを待ちます。カビの発生までの日数は、カビつけの回数が進むにつれ、のびていきます。
一番カビまでは二週間、それから1週間ずつ長くなっていきます。そうして新たなカビがはえなくなったら、「カビつけ」の作業は終了します。カビつけは通常、四番カビまで行われます。長びいた場合でも六番カビまでです。
カビの種類ですが、これもカビつけが進行するにつれて、ペニシリウム属からアスペルギルス属に変わっていきます。このアスペルギルス属のカビの中に、優良種のカビが入っています。グラウカス、ルーパー、レーペンスなどがそれで、これらのカビの発育した節の表面は淡灰緑色をしています。本枯れ節の質の良さを決定づける重要な条件として、表面が淡灰緑色をしていることが真っ先にあげられるのも、そのためです。この「カビつけ」が終わると、全行程が終了し、本枯れ節ができ上がります。